勤労学生控除ってなんだ?
「勤労学生控除」という言葉を聞いたことがありますか?
以前このサイトで「扶養控除」についてお伝えしました。
❝学生のみなさんは親御さんの扶養家族に入っているので、アルバイトを頑張りすぎるとみなさんにも所得税がかかりますし親御さんの所得税も高くなる可能性がありますよ❞という内容をお伝えしました。
今回の「勤労学生控除」は、❝アルバイトをしている学生さんの、所得税がかかる壁がかわってくる❞というお話です。
◆勤労学生とは何か……字が表す通り、生活費を稼ぐために働いている学生のことをいいます。
勤労学生の条件を国税庁のサイトでは次のように示しています。
①給与所得など、勤労による所得があること
②合計所得金額が65万円以下で、①に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
③高校、大学、専修学校、さらに職業訓練校などの生徒であること
以上の3点になります。
①と②の説明がわかりにくいかもしれませんので、少し付け加えておきましょう。
アルバイト代に所得税がかかるかどうかは、1年間のアルバイト代から必要経費である給与所得控除を差し引き、そこから所得控除した結果がプラスになるかどうかによります。
例えば、アルバイト代が年間130万円であれば、給与所得控除額は65万円で、これを引いた後の金額65万円が給与所得になります。(130万-65万=65万)
そして給与所得からは所得控除である基礎控除38万円を差し引いた結果が27万円となりますから、この金額をもとに所得税率5%を掛けると所得税13,500円になるわけです。(65万-38万=27万、27万×0.05=13,500円)
勤労学生控除というのは「所得控除」のひとつです。その金額が27万円ですから、所得から差し引くことができるのです。
先ほどの事例で計算式を表してみましょう。
給与所得65万円 -(基礎控除38万円+勤労学生控除27万円)=0
0円、つまり所得税が掛からないということになり、所得税の壁が103万円から130万円に上がりました。130万円まで稼げるということですね。
「なぁんだぁ、扶養控除で難しいことを説明する前に教えてよ」と言われそうですが「勤労学生控除」は、あくまでも働いて収入を得ている学生さん本人の所得税がかかる壁の話であって、みなさんを扶養してくれている親御さんの扶養控除のお話はそのままになります。
ということは「勤労学生控除」を受けることを前提にアルバイトをすると、親御さんの所得税が上がるかもしれないというところは何も変わりませんので、103万円でなく130万円までアルバイト収入をあげてしまっていいかどうかは一度ご家庭で相談をしておくことをお薦めします。
それからもうひとつ。この「勤労学生控除」を受けるためには「確定申告」が必要になることがあります。アルバイト先で「年末調整」をしてもらえれば手続きは不要ですがない場合は自分で行わないといけませんのでこれも覚えておいてくださいね。
◆確定申告についての記事はこちら 確定申告ってなんだろう?① 確定申告ってなんだろう?②