2019.12.29 / manners-about-moneyabroad

扶養控除を解説!

今回は、サイトを見てくださっている皆さんからのリクエストにお応えして「扶養控除」を解説しましょう。アルバイトをしている人は、親御さんから「アルバイトをする時に、稼ぎすぎないように」と言われたことはありませんか?

「扶養控除」に関係してくるわけですが、いったい「扶養控除」とは何なのか、いくらまでならアルバイトで稼いでも大丈夫なのか、みていきましょう。

「扶養控除」とは、お給料や、商売の売上などの収入から最終的に「所得税」を計算するために、所得税率を掛ける課税対象額を求めるときに差し引いてもよいといういくつかの項目のひとつになります。

サラリーマンの場合……お給料やボーナスなど、社会保険料などを差し引かれる前の会社から支払われる金額が<収入>になります。そこから必要経費を差し引きます。

商売をしている人……仕入れ費用などが必要経費になりますが、サラリーマンにも<給与所得控除>として経費が認められています。これは収入の額によって計算方法が変わってきます。

収入ー<給与所得控除>(必要経費)=<給与所得>

所得に税率を掛けて所得税を決めてしまうと、収入が同じなら税金額も皆同じになってしまいますが、現実には家族を大勢養っている人とひとり暮らしの人とでは、暮らしぶりがちがいますよね。

そこで、一人ひとりの状況を所得に反映させるという考えのもとに<所得控除>として、さらに差し引けるものがあるのです。そこに「扶養控除」も含まれています。

「扶養控除」とは、教育費のかかる子どもを抱えている人に適用されているもので2種類あります。16~18歳の子どもがいる場合は所得から38万円を、19~23歳の子どもがいる場合は63万円を所得から差し引けるようになっています。

それだけ所得税を計算する元になる課税対象額を小さくできるわけです。

所得控除には他にもあります。

「配偶者控除」……結婚して奥さんが専業主婦の場合に適用するもの。「基礎控除」……誰にでも平等、無条件に差し引けるもの。こういったものがあります。

こんな風に税金を計算する仕組みができていますので、扶養している大学生の子どもがアルバイトでがっつり稼いで所得税を払う程の金額になってしまうと「それだけの経済力がある子どもなら『扶養控除』の対象にしなくていいよね」となってしまい、扶養控除分の63万円を差し引けなくなってしまうのですね。

その結果、皆さんの親御さんの所得税が上がってしまうわけです。そのためにみなさんが「アルバイトをする時に、稼ぎすぎないように」と言われるのです。

では、「皆さん自身が所得税を払わなくてよいアルバイト代」とはいくらまでになるのでしょうか?

その計算方法がこちらです。

アルバイト代103万円―給与所得控除額65万円―基礎控除38万円 = 課税対象額0

となりますから、103万円までにしておけば親御さんの扶養控除を外れてしまうことはありません

最後にもうひとつおまけ情報です。

「扶養控除」を外れてでもアルバイトをする必要がある場合に気を付けていただきたいのが「130万円」という金額です。これは健康保険の扶養範囲の限界金額になります。

130万円を越えてしまうと、自分で国民健康保険に加入して保険料を納めないといけなくなります。(税金と社会保険で扶養の範囲が違うところがややこしいのですが)

国民健康保険料は住んでいる市町村によって金額が違いますので、いくら負担が増えるかをお伝えできませんが、学生の皆さんにとって少なくない金額を納めないと病院にかかる際に使う保険証を手にすることができなくなりますので、130万円という金額もあわせて覚えておいてくださいね。

この記事を書いた人

植田 香代子
1級ファイナンシャルプランニング技能士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント。 大学での授業、新入社員向けの研修、ひとり親の就業相談などの現場で、マネーとキャリアの両面からサポートを行っている。 マネーとキャリアの相談室