2021.07.11 / newseventsbook

課題図書⑪おいで、アラスカ!

読書感想文コンクールに今年もチャレンジするぞというみんなへ。今年の課題図書について紹介します。

☆『おいで、アラスカ!』はこんな人におススメ☆

海外の物語が好き / 介護犬に興味がある / てんかんのことをちゃんと知りたい / 生きづらさや悩みがある / 友情が芽生えるお話が好き

 

『おいで、アラスカ!』は、オランダの児童文学賞・銀の石筆賞を受賞した海外の児童文学です。

物語の主人公は12歳の少女パーケルと13歳の少年スフェン。

新学期の二週間で二人に起こる出来事が、交互にそれぞれ語られていきます。

ふたりに共通するのが一匹のゴールデンレトリバー、アラスカです。

もともとパーケルが子犬のときから飼っていた犬で大好きだったのですが、手放なすことになってしまいます。パーケルの通う中学に転校してきたいじわるなスフェン。アラスカの新しい飼い主がスフェンだと知ってくやしくなったパーケルは、アラスカを取り戻そうとスフェンの家にしのびこみ……。

性格も立場もまるで違う二人ですが、意外な共通点があります。

「いつ起こるかわからない いまこの一秒になにもなくても次の一秒になにか起こるかもしれないし……」という強い不安。

なぜなら、パーケルには「両親が経営するお店が強盗におそわれた」という経験があり、スフェンは1年前からてんかんの発作が起こっているからです。アラスカは「介助犬」としてスフェンのもとにやってきたわけです。

今どきの作品らしく、SNSでの動画がたくさん出てきます。

SNSの扱い方やマナーも取り上げられている一方で、問題をSNSで解決している点がとても興味深く読めます。ある動画がスフェンをたたきのめすのですが、パーケルが別の動画をSNSに流してスフェンを絶望から救うラストがとても前向きでほっとします。

不安や生きづらさを抱えた自分を「火星人」と表現しつつ、二人が友情を深めていく物語。

◆本について 『おいで、アラスカ!』 作:アンナ・ウォルツ 訳:野坂悦子 出版社: フレーベル館 1,540円

この記事を書いた人

あすとれ編集部
編集長・春瀬(編集・ライター兼キャリアカウンセラー)と、ライターさん、就労前世代のモニターバイトさんから成る編集部です。拠点は大阪市内。「こんな記事が読みたい」などリクエスト募集中!