2021.07.11 / newseventsbook

課題図書⑭アーニャは、きっと来る

読書感想文コンクールに今年もチャレンジするぞというみんなへ。今年の課題図書について紹介します。

☆『アーニャは、きっと来る』はこんな人におススメ☆

戦争と平和について考えたい / 海外の児童文学が読みたい / 戦争のことを忘れてはいけないと思う / 世界の歴史について知りたい

 

第二次世界大戦中の1942年。南フランスの山間部、スペインとの国境にも近いピレネー山脈の麓の小さな村が舞台です。国境警備のために、ドイツ軍の一隊が駐屯することになり、平和な日々が一変します。

ヒツジ飼いの少年ジョーは12歳。ある日、ユダヤ人のベンジャミンと出会います。ベンジャミンはここで落ち合う約束になっている娘アーニャの到着を待っているだけでなく、ナチスの迫害から逃れてきたユダヤの子どもたち12人を匿い、ピレネーを越えて安全なスペインに逃がそうという危険な計画を企てていました。

ジョーはベンジャミンに秘密を守ると約束し、彼の救出作戦を手伝い始めるのです。

村には、ユダヤ人に手を貸すことに賛成の人も反対の人もいます。ユダヤ人の逃亡に手を貸すと銃殺と警告されているからです。

やがて全員が手を貸して、ドイツ兵が駐留しているなか、村人全員をまきこんだ大騒動の逃亡劇となります。

作者のモーパーゴは戦争の悲惨さと、人間の力強さを描いた児童文学作品を多く発表していて、本著は「Waiting for Anya」のタイトルで映画化もされています。

戦争やユダヤ人迫害など、現代日本の子どもたちには想像できないような残酷なことを主題にしながら、少年や老人、子ども、兵士や虐げられる側、障害をもつ人などいろいろな立場を人間味あふれる目線で描いています。

ジョーとドイツ兵・伍長との友情、ベンジャミンの勇気、家族の絆や村人たちの結束など、希望も多々描かれていて、胸にせまってくる作品です。ハラハラドキドキしながらも一気に読めます。

 

◆本について 『アーニャは、きっと来る』 作:マイケル・モーパーゴ 訳: 佐藤見果夢 出版社:評論社  1,540円

この記事を書いた人

あすとれ編集部
編集長・春瀬(編集・ライター兼キャリアカウンセラー)と、ライターさん、就労前世代のモニターバイトさんから成る編集部です。拠点は大阪市内。「こんな記事が読みたい」などリクエスト募集中!