2021.06.16 / newseventsbook

子どもたちの作文を読んでみる

もうすぐ夏休みですね。

夏休みには、読書感想文や日記、自由作文の宿題が出ますよね。そんなタイミングでのおすすめの一冊、紹介させていただきます。

1999年発行の本なので「もう読んだよ」という方も多いかもしれません。

学習塾をやっている弟さんとコラボして作文教室を展開する作家さんが
小学生 の作文をどーんと、全体の1/4ページほど紹介しています。

ここで掲載されているのは、教室に通っている生徒6人、1年間の作文です。ほぼそのまま。先生のほめ言葉&アドバイス付きです。

子どもたちはよく「作文って何を書いたらいいかわからない」と言いますが、他の子達がどんなものを書いているか読む機会があまりないことが一つ大きな理由なのかなと思います。

この本にはたくさんの作文が載っているので「そうか、こういうことを書けばいいのか」「こんなことを書いてもいいんだ」という発見がたくさんあるかと思います。同じ年頃の子たちの「例文」をたくさん読んでみると、書きやすくなる生徒さんも多いのではと思います。

この先生の理念は「何を書いてもいい。ただし、読み手に伝わるように書く」なので、作文のテーマもいろいろです。たとえば、夏休みのこと。旅行のこと、遠足、おいしかった話、自作の物語などいろいろ掲載されています。

もうすぐ読書感想文を考えなきゃという方も多いかと思いますが「本を読んで思ったこと」もたくさん載っています。

この単行本は245ページあるんですが、最初からページを追って読むよりも、今回書こうとしているテーマに近い作文を見つけて読んでみることをおすすめします。テーマが同じか近いものをひとつ選んで「どんな風に書いているかな?」と読む。それから、先生が書いているアドバイスを読んでみる。

今日はここを読んでみよう、次はここだ。そんな風にページをめくっていると、だんだん力がついてくるのではと思います。自分で自分の書いた作文を見直す力もつくと感じます。

お子さんにとっては
「こんな風に書いているんだ」「こんなことも書いていいんだ」と参考になり、保護者の方にとっては、「こういう風にほめるといいのか」「ここをこうすると確かにもっと良くなるよね」という、ほめ方のコツ・添削のコツのヒントがたっぷり詰まった一冊だなと感じます。

 

作文もそれぞれ、個性が出ています。比喩がうまい、説明がすごく丁寧で正確、気持ちを書くのが上手、個性的でユニークな表現ができる。

お子さんが「自分はこういう作文が書きたいな」「こういう感じなら書きやすいかも」、そう思うものをマネしてみるのも上達の近道かと思います。

この本で紹介されている作文は、小学生のものです。では中学生以上は関係ないのか、大人にとってはためにならないかというと、「自分の文章を振り返る練習」になると思います。

自分と比べて「この人は気持ちの描写がうまいなあ」「説明がとても正確だなあ」など感じたり、子どものセンスに笑ったり感動したり。どの年代にとってもそれぞれに読みごたえのある一冊だと思います。

◆本について 『清水義範の作文教室』 著:清水義範 出版社: 早川書房 770円

この記事を書いた人

あすとれ編集部
編集長・春瀬(編集・ライター兼キャリアカウンセラー)と、ライターさん、就労前世代のモニターバイトさんから成る編集部です。拠点は大阪市内。「こんな記事が読みたい」などリクエスト募集中!