2021.03.01 / career-job-hunting

インタビュー前編:オンライン就活 成功の秘訣

 インタビュー前編:コロナ禍の就職活動を成功させる必勝法とは?

新型コロナウイルスにより社会の成り立ちが激変。就職活動の方法もこれまでと異なり、自己PR動画を導入する企業が増え、説明会・面接もオンライン化するなど、就活世代にはとまどいがあることでしょう。これまで経営が安定していると思われていた企業もどうなるかわからない状態で、企業選びがむずかしくなっています。そこで今回は複数の大学でキャリアカウンセリングやセミナーを行い、『あすとれ』の産業トレンドページでコラムを執筆している濱口桂先生に、アフターコロナの働き方を見据えつつ、コロナ禍の就職活動を成功させるオンライン活用術や必勝法を聞きました。前編・後編、2本立てでお届けします。

Co-en代表 濵口 桂さん × ライター 西倫世さん

西ちゃん
今の大学生は授業がリモートになり、同級生との情報交換もむずかしい状態。就活をはじめてはみたもののどうしていいかわからない学生が多いみたいです。

はまぐちさん
オンラインのキャリアカウンセリングをうまく使えている学生と、まわりの動向がわからず何もしていない学生の二極化が進んでいますね。でも企業側にとってはラッキーですよ。仕事だって今後テレワークは増えていくだろうから、ちゃんとオンラインを活用して就活した学生は即戦力になりますから。

 

西ちゃん
就活自体もオンラインになっていますもんね。リアルの面接とオンライン面接ってどんなちがいがあるのでしょうか?

はまぐちさん
いちばん大きな違いは視覚と聴覚の優先順位が逆転すること。リアルだと人が話しだすと自然とその人を見るでしょう。でもオンラインだと音声が不安定だから、いかに視覚的なアピールができるかが大事。

西ちゃん
視覚的なアピールって?

はまぐちさん
誰かが話しているとき大きくうなずき、自分が話すときは手を挙げて名前を言ってから話し出すなどですね。

 

西ちゃん
オンラインだと必死に音声を聞き取ろうとして、表情も固くなりがちですもんね。

はまぐちさん
そう。真面目で一生懸命な子ほど不利なんですよ。表情がないと暗い印象になるし。

西ちゃん
解決策はありますか?

はまぐちさん
カメラをテーブルに置いていると見下ろす視線になり、少し威圧感が出てしまうので、何かに乗せて高い位置に置くといいですよ。カンペを手元に置くとさらに視線が下になるので、カメラの近くに付箋を貼っておくといい。好きなアイドルの写真も貼っておけば自然と表情も明るくなるからおすすめです。

西ちゃん
なるほど(笑)。確かに印象はかなり変わりそうです。アフターコロナを考えたとき、注目すべき業界、職種ってありますか?

はまぐちさん
コロナで社会のルールが何もかも変わってしまったので、これまで人気だった業界や安定していると言われていた仕事のことは一旦忘れて、各企業がコロナでどう環境を改善したかを質問してみてください。

西ちゃん
どんな回答なら良い企業と判断できるんでしょうか。

はまぐちさん
「昔から続く老舗なのでコロナではビクともしない」と答える企業はダメ。社会が大きく変わったので、そんなわけはないんです。「変わらないといけないので検討中」というところは遅い。「すでに対応しています」と答え、さらに具体的な事例を話してくれる企業は、環境の変化に柔軟に対応できるので働く職場としていいと思います。

西ちゃん
面接でそこまで踏み込んだ質問をしていいのでしょうか。空気が悪くならないか心配……。

はまぐちさん
いいんです。今は業種や職種というくくりで就職先を選びにくい。同じ業界でもすごい差が出ているから。だからこそ企業の本質を見抜くチャンス。コロナにどう対応したかでブラックかホワイトかがわかりやすくなっていますよ。

西ちゃん
対応が早かった企業ってたとえば?

はまぐちさん
CMでおなじみの某ファストフードです。現場の声から、モバイルオーダー後に近隣の駐車場で待つお客様のところに商品を届けるサービスをはじめたんです。これは現場の社員の声を吸い上げたそうですよ。

西ちゃん
世界規模の大企業なのに現場の声がすぐトップまで届いて、しかも採用されたんですね。

はまぐちさん
それだけ働く人間の意見を大事にしているってことですからね。

西ちゃん
学生からインターンシップに落ちた会社に応募していいか悩むという話を聞きます。

はまぐちさん
それはよく聞く悩みですが、基本的にはOK。なぜかというとインターンシップに来て欲しい基準、社員の採用試験の基準は別と考えているから。もちろん企業によって多少の違いはあれど、インターンシップは就業体験をしてもらうというボランティア的な精神と社会的な意義のために募集しています。また若手社員に刺激を与えて欲しいという気持ちもあるだろうし、最近はいい子がいたら社員として迎えたいという狙いもあります。

西ちゃん
たしかにインターンシップに行った会社に就職したという声もよく聞きます。

はまぐちさん
でもそれは結果論。インターンシップで来た学生の中から選ぶと決めているわけではないですよ。それにインターンシップの募集と採用試験にはタイムラグがありますよね。その間に学生は成長するという大前提も考慮しています。

西ちゃん
じゃあ学生から面接の際に「御社のインターンシップに落ちたんです」って話はしてもいいんでしょうか?

はまぐちさん
もちろん。ただその場合インターンシップに落ちた後、何をしたかという話もセットにしないといけません。あらためて自己分析をして、就職活動をして他の会社もみて、やっぱり御社がいいと思ったという伝え方をすれば印象もいい。成長した姿をアピールする術にするんです。

西ちゃん
何をすれば成長した証になりますか?

はまぐちさん
たとえば「自分の言いたかったことの30%くらいしか伝えられなかった、だから人前で話すトレーニングをした、ゼミで積極的に発表した、スピーチの大会に出た」とか。逆に話すのは得意だけど内容に中身がなかった場合は「企業理解が足りなかったから御社にまつわる新聞記事を過去5年分読み、とりまく業界のことを調べなおした」「ホームページを隅から隅まで読んで質問集をつくってOBOGに話を聞きにいった」などですかね。

西ちゃん
店舗展開してるなら、お店を見に行くのもいいですね。

はまぐちさん
その場合はぜひお客目線で見た問題点の指摘と自分なりの解決策もセットで話してください。ハイレベルな解決策じゃなくても大丈夫。自分なりに考えたという事実が評価されます。

 

後編に続きます

この記事を書いた人

西  倫世
フリーランスのライター。学生時代、アルバイト情報誌の編集部で学生スタッフとして雑誌づくりに携わり、大学卒業後は編集プロダクションに勤務。転職情報誌の編集・ライターとして経験を積み28歳で独立。現在は就職サイトにて記事を作成するほか、飲食業界誌、企業広報誌、テレビ誌などあらゆる媒体で、さまざまな職業の人物インタビューを行っている。