2020.07.09 / newseventsbook

課題図書⑥11番目の取引

読書感想文コンクールに今年もチャレンジするぞというみんなへ。今年の課題図書について紹介します。

☆『11番目の取引』はこんな人におススメ☆

海外の物語が好き / 日本以外のことをもっと知りたい / アフガニンスタンのことを知りたい / 難民について知りたい / 友情を描いたストーリーが好き

 

主人公・サミは12歳のパシュトゥー人。タリバンに家族や親せきを殺されたアフガニスタン難民で、祖父と二人で身を寄せ合いながら生き、アメリカにやってきて暮らしています。

有名なルバーブ奏者であった祖父は地下鉄の通路でルバーブを弾き、二人の生計を支えていました。けれどある日、伝統楽器ルバーブが盗まれてしまいます。

ルバーブは二人にとって、日々の糧を得る楽器というだけではなく、アフガニスタンを感じられる魂そのもので、誇りでもあります。

サッカー仲間ダンの協力を得て、ルバーブがネットオークションのサイトで売られていることを知ったサミは出品者の店を訪ねます。「自分が買い戻す!」と交渉して、4週間だけ売らずに待ってもらうことになりました。必要な金額はなんと700ドル!

友達の助けを借りつつ、サミは物々交換をしていきます。スタートは、祖父からプレゼントされた大事なキーホルダー。取引をしてお金を貯めて、700ドルを用意しようというわけです。

ハラハラ、ドキドキの展開の中、取引は進み、手にしたお金を持ってお店へ駆けつけたのですが……。

タリバンに身内を殺され、人との繋がりを失いながら生き延びてきたサミが、ルバーブを取り戻すための11の取引を通じて、新たな「人との繋がり」を取り戻す姿が感動的です。

「神は慈悲深い」というじじの言葉がとても心に響くラストになっています。希望と友情の物語です。

 

◆本について 『11番目の取引』 11番目の取引 著:ジュゼッペ・フェスタ  訳: 杉本 あり  出版社: 鈴木出版 1,760円

この記事を書いた人

あすとれ編集部
編集長・春瀬(編集・ライター兼キャリアカウンセラー)と、ライターさん、就労前世代のモニターバイトさんから成る編集部です。拠点は大阪市内。「こんな記事が読みたい」などリクエスト募集中!