「体験デザイン」の本を読んで❝自分の体験がデザインされる❞ことを感じてみよう
『「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ』 著:玉樹 真一郎
(出版社:ダイヤモンド社 1,650円+税)
『つい』とういう題名に、本屋で〝つい〟手に取ってしまい、〝つい〟買ってしまった! この〝つい〟○○やってしまう、という行動を起こすための本だということだが…… 私が〝つい〟買ってしまったのも、この〝つい〟効果だろうか?
この本の表紙をめくると、このように書いてある。
「この本では、あらゆる人の心を動かす方法を紹介します」と。 ここだけ見ると、すごく怪しい……笑。催眠商法みたいですね~ 。
本編を読んでいくと、この本で紹介しているのは「人の心を動かす方法」ではなく、「人の心を動かす体験のつくりかた」だとわかります。
この本の著者は、以前はゲームメーカーの任天堂(ニンテンドー)で、「Will」というゲーム機の企画を担当していた玉樹真一郎という方です。 「Will」は、世界で1億台売れるヒット商品となり、玉樹さんは任天堂を退社して現在は企画の専門家として活躍をされているそうです。
企画のプロである玉樹さんがずっと実践してきたこと、それが「人の心を動かす体験のつくりかた」だそうです。 これだけ必需品が世の中にあふれ、成熟した市場となってしまうと、単に高機能・高性能なだけの商品はもはや売れなくなってきています。
スーパーや百貨店などの販売の現場でも、取り扱っている商品、つまり「モノ」を販売するのではなく、来店したお客さんに何か体験を楽しんでもらうという「コト」を起こすという、「モノ」から「コト」へというビジネスの考え方が流行っています。
また、「UXデザイン」という考え方が、近年ビジネスの中で重視されるようになってきています。 UX(ユーエックス)は、User Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略で、「ユーザー体験」と訳されています。
ユーザー体験とは、ユーザーが製品やサービスを利用することによって受ける印象のことです。そして、そのユーザー体験をデザインすることを「UXデザイン」と言い、この「UXデザイン」の考え方は、システムや製品などの開発でも使われています。
私たちは、ビジネスの現場だけではなく、いつだって「人の心を動かしたい」と考えています。
インスタを見て〝いいね!〟が欲しい。安全に自動車を運転してほしい。 小説を読んで感動してもらいたい。子供にやる気を出してもらいたい…… などなど。
そのための手順を、著者は、①「直感のデザイン」②「驚きのデザイン」③「物語のデザイン」という手順を踏んで、この本でわかりやすく解説しています。
しかもこの本、進め方がとてもユニークです。 なんと、あの世界一売れたゲームとしてギネスにも登録された「スーパーマリオブラザーズ」の画面を参考にして進めていっているのです。
最初に書いたように、この本を「つい」手に取ってしまい、「つい」買ってしまいました。 そして、実はこの本の内容の書き方にも仕掛けがしてあって、「つい」読み進めてしまうのです。
「人の心を動かす体験」である「体験デザイン」を、あなたはこの本を読み進めることで疑似体験できるのです。
最後までこの本を読み終わった時、あなたは「体験デザイン」をまさに〝た・い・け・ん〟したことになる、これはそういった本なのですよ。