2019.12.20 / manners-about-moneyabroad

消費税はなぜ上がった? また上がる?

今年10月に消費税が上がりました。それに伴って交通機関の料金も上がったところが多いですし、学生のみなさんもコンビニなどで買い物をしたときに増税を実感しているのではないでしょうか? アルバイト代の時給もお小遣いも上がらないのに、支払う金額が上がってしまってお財布には辛いところですね。

◆なぜ、消費税は上がったの?

財務省のホームページによると、少子高齢化が進む日本では「年金」「医療費」などの社会保障費が増える傾向にあります。

このような支出は「税金」を財源にしていますが、所得税や法人税を上げると働いている人だけが社会保障費を負担をすることになり、不公平になります。

国民、皆に公平に負担してもらうためには消費税がふさわしいとのことでした。

所得税、法人税は景気によって税収が減少してしまうことがありますが、消費税は景気に左右されないという理由もあるようです。

◆増税分の使い道は? 私たちの生活はどう変わる?

増税2%分は、年金、医療、介護、子ども・子育て支援に振り分けられることになっています。以前の消費税増税のときは高齢者向けにしか使われていませんでしたが、今回初めて子育て世代が支出対象になりました。

保育無償化、高等教育無償化という言葉を聞いたことはありませんか? 小さな子どもを育てる世代、教育費がかかる世代を支援するというものです。高等教育無償化ということで、大学の授業料がかなり減免されたり、給付型(返済不要)の奨学金の支給が決まりました。大学、専門学校の学費は非常に高額ですからこの点を支援してもらえるということで、期待を高めたご家庭も多かったと思います。

ただ高等教育無償化は、子どもが家庭の事情で進学をあきらめないようにという観点から収入が少ない家庭を対象にしていますから、すべての人が使えるものとはなっていません。限られた財源ですので、どこまでを対象にするのか、という線引きが難しかったのではないかと思います。

◆消費税、今後も上がるの?

「今後もまた上がっていくのでは?」という心配の声が聞こえてきます。安倍首相は、今後10年増税の必要はないと言っていますが、このまま少子高齢化が進めば、さらに医療・介護に関する支出が増えますから財源不足が予想されます。

10年間は上がらないのか、もっと早いタイミングで上がるのか時期はわかりませんが、もう一段階上がることは十分ありそうですね。

経済学者の中には「将来的には20%ぐらいが必要だ」と主張している人がいます。その意見を後押しするようなデータもあります。

国税庁のホームページで諸外国と比較してみると、社会福祉が整っているといわれる北欧のデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの3カ国は消費税が25%。そのほかのヨーロッパの国々も20%前後となっています。

日本は現在10%。世界でみるとどちらかというと低い方ですから、「諸外国はもっと高いし、社会福祉のためには必要だから」という流れになるかもしれません。今後上がる理由は、国内事情だけでなく、こんなところにも見られます。

 

税金は国民の義務として納めなければなりません。こうして消費税について考えてみて、気持ちよく納めるためにも「何に使われているのか」をしっかりわかるように、生活の中で実感できるような政策をとってほしいと改めて思いますね。

この記事を書いた人

植田 香代子
1級ファイナンシャルプランニング技能士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント。 大学での授業、新入社員向けの研修、ひとり親の就業相談などの現場で、マネーとキャリアの両面からサポートを行っている。 マネーとキャリアの相談室