2018.08.03 / newseventsbook

読書感想文サポート連載④

『千年の田んぼ』著者:石井里津子 価格:1500円(税別)

読書感想文にチャレンジする時、「早く読めそう」と、ページ数が少ない本・イラストや写真が多い本を選んでしまったりしませんか?

もし興味のないジャンルを選んでしまうと、読書タイムがとても苦痛になります。というわけで、今回の課題図書を順番に紹介します。本選びの参考にしてくださいね。

◆「千年の田んぼ」はこんな本

どんな町中に住んでいても、田んぼはどこかで一度は目にしたことがあるでしょう。

でもその田んぼ、「いつからあるのか」考えたことはありますか?

この本の著者は、全国の農村を尋ね歩き、20年以上にわたって農業の取材・執筆を続け、「農山漁村に残る大切なものを伝える」ことをライフワークにしている女性。

「千年の田んぼ」は山口県・見島の農耕を調査し、地元の方や学者を大勢取材して書かれています。

山口県の見島は、面積にして8㎢もない小さな離島。元々見島には、島全体になんとため池が200個超え! 不思議な光景にひかれて取材を続けていくと、7世紀ごろの中央政府が手掛けた「条里田」(中央政府が定めた、まっすぐな形の田んぼ。中世に初めて国家事業として作られた)ではないかと想像されます。もし現存する「条里田」なら、まさに日本最古の田んぼ!

とすれば、そんな国家事業をなぜこの小さな離島で行ったのか? 誰が? 隣接するジーコンボ古墳群との関係は?
謎をひとつひとつ解きあかしていくノンフィクションを通じて、日本の暮らしと切り離せない「稲作」の歴史が浮かび上がってきます。

田んぼも畑も、何世代にもわたって受け継がれているわけで、ふと、自分の近くの田んぼはどのくらい前からあるんだろうと時代をさかのぼってみたりと視点が少し変わってきます。

農村地域の過疎化がすすみ、田んぼを受け継ぐ人が少なくなっている現代。これからの農業の行方にも興味がわいてきます。

農業・歴史・地理・古墳、そして日本の食生活に興味がある人に特におすすめ。

『千年の田んぼ』石井里津子著

この記事を書いた人

あすとれ編集部
編集長・春瀬(編集・ライター兼キャリアカウンセラー)と、ライターさん、就労前世代のモニターバイトさんから成る編集部です。拠点は大阪市内。「こんな記事が読みたい」などリクエスト募集中!