2018.08.02 / newsevents

読書感想文サポート連載③

『車いす犬ラッキー~捨てられた命と生きる』著者:小林照幸 価格:1500円(税別)

読書感想文にチャレンジする時、「早く読めそう」と、ページ数が少ない本・イラストや写真が多い本を選んでしまったりしませんか?

もし興味のないジャンルを選んでしまうと、読書タイムがとても苦痛になります。というわけで、今回の課題図書を順番に紹介します。本選びの参考にしてくださいね。

◆「車いす犬ラッキー~捨てられた命と生きる」はこんな本

あなたは今ペットを飼っていますか?

本の表紙には、車いす犬の写真。そして「安楽死なんてさせなくてよかった」と書かれた帯。

殺処分についての本も書いているノンフィクション作家が、徳之島で車いす犬ラッキーの姿を見つけ、寄り添っている島田さんと出会い、生まれたこの本。

あとがきには「2013年(平成25年度)の殺処分数は全国で13万6029匹、かつての40万匹と比較すれば1/3に減ったとは言えるがまだまだ多い」とあります。殺処分の現場でペット大国日本の一面を垣間見てきた著者が、獣医がいない島で暮らす「島田さんと車いす犬ラッキー」、そして彼らを助ける人々を丁寧に取材して書いています。

獣医がいない島で犬や猫を飼うには勇気がいります。

元々、ラッキーの飼い主・島田さんは子供たちに犬を飼いたいとせがまれても、毛が抜けるなどを理由に犬を飼いたがらず、「冷たい」と言われたこともあるほど。

そんな彼が縁あって犬と暮らしはじめ、ラッキーがまだ1歳の時ふと目を離したことで交通事故にあい、椎体骨折。沖縄の獣医さんに託し、二度の手術。やはり歩くことはできず車イスを付けることになります。

獣医さんは手術前に、お金がかかること、リハビリも必要になるし、その後のお世話も大変であること、こういう場面で安楽死を選ぶ飼い主も少なくはない、と話します。

それでも手術を選び、車いすを探し、寄り添ってお世話する島田さんの覚悟、ラッキーへの愛情は並々ならぬものがあって、犬好きじゃなくてもあたたかい気持ちになります。

車イスをつけてみた時にラッキーがガレージを飛び出し、何度も往復するシーン。喜んで走っている姿が目に浮かび、良かった! また走れたんだ! と感動しました。

犬の寿命はおよそ15年から16年。食べてはいけない食物、病気のことなど、犬と暮らすなら知っておきたい知識もしっかり学べる点も魅力です。

最後に、この本の舞台「徳之島」について。「それ、どこ?」という人が多いんじゃないでしょうか。鹿児島県・奄美群島の「徳之島」。珊瑚礁の海に浮かぶ南の島で、温暖な気候を生かしてサトウキビやマンゴーなどが栽培されていること、この島はユイ(結い)の社会であること。(ユイとは困っている人がいれば手を差し伸べ助け合う「共助」を意味する奄美群島での島言葉方言。)闘牛大会が最大のイベントであることなど、島田さんの暮らしを通じて風土・伝統・文化なども丁寧に描かれています。

行ったことがない島でも、読んでいるうちに旅した気分を味わえるのが読書の魅力の一つですよね。

美しい島で、かけがえのない家族として暮らす島田さんとラッキー。ペットと暮らすということ、命と向き合うということを考えさせられる一冊です。

『車いす犬ラッキー~捨てられた命と生きる』小林照幸著

この記事を書いた人

あすとれ編集部
編集長・春瀬(編集・ライター兼キャリアカウンセラー)と、ライターさん、就労前世代のモニターバイトさんから成る編集部です。拠点は大阪市内。「こんな記事が読みたい」などリクエスト募集中!