2017.09.21 / interview
宇宙にまつわるお仕事、たくさんあります!
見上げた空の向こうには、果てしない数の星が存在する。「いつか宇宙に行ってみたい」「宇宙に関わる仕事ができたら」……誰もが一度はそんな思いを感じたことがあるんじゃないだろうか。今回は、宇宙に関わるおしごとについて、❝宇宙に一番近い島❞種子島に行き、宇宙センターで取材させてもらいました!
はるちゃん
宇宙に関係する仕事といえば「宇宙飛行士」「ロケット開発者」のイメージが強かったんですが。宇宙科学技術館に行ってみて、ほんとにいろんな仕事があるんだなあ、たくさんの方の支え・思いがあるんだなと感じました。
おのせさん
そうですね。ここ種子島の宇宙科学技術館に来てもらえると「ロケット開発以外にもいろんな分野があるんだ」と知ってもらえると思いますね。種子島宇宙センターは、ロケット打ち上げを支える場所として、人工衛星の最終チェックからロケットへの搭載、ロケットの組み立て・整備・点検・打ち上げ、打ち上げ後のロケットの追跡まで一連の作業を行っているんですよ。
はるちゃん
そうなると、打ち上げ施設の整備なども重要なお仕事なんでしょうね。
おのせさん
そうですね、打ち上げ時の爆風などで痛むこともありますし、海に面している分、塩害もあります。打ち上げに際して射場設備が使えるようにと日々のメンテナンスは重要ですね。
(↑ H-ⅡAロケットの打ち上げ射点(第一射点))
おのせさん
技術系ですと「気象」も重要なキーワードですね。屋外の作業では雷の影響が大きかったりと、気象チェックは欠かせないものなんです。気象予報士さんも働いているんですよ。
おのせさん
ロケットを打ち上げた後には「追尾管制」といって、飛び立った後の位置を図ったり、ロケットと通信を行い各種データを受信したり、また、万一軌道がそれたら指令破壊等の安全措置をおこなったりなど、飛行安全管制も種子島宇宙センターでの業務のひとつです。
(↑ 総合指令棟(RCC))
はるちゃん
なるほど。たとえば筑波宇宙センターなど、事業所が変わればまた違ったお仕事もあるんでしょうね。
おのせさん
そうですね、たとえば筑波宇宙センターですと人工衛星の開発や宇宙飛行士養成などが、相模原キャンパスですと宇宙の起源や様々な謎を探る宇宙科学研究も行われています。
はるちゃん
こういうものを買ってみたんですが、「食」の研究もされてるんですよね。
おのせさん
宇宙食の開発や宇宙服の研究も筑波でやっています。筑波のスタッフが「こういった条件で食べる」「こんな栄養が必要」などを伝えて、メーカーの方と作ってますね。宇宙おにぎりと同じ「宇宙日本食」シリーズに、カレーやようかんもあるんですよ。ラーメンも一口サイズでとろみもあり、飛び散らず、食べることができるんですよ。
はるちゃん
地上と同じような食事ができるんですね!
おのせさん
食事は栄養補給だけでなく、精神面の癒しでもありますからね。宇宙でも、いかに地上の食事に近づけるか、スタッフが頑張っているんです。
はるちゃん
衣食住、あらゆる面で素晴らしい技術がどんどん生まれてるんですね。
おのせさん
そういったさまざまな技術がまた民間に転用され、便利になっていってるなあと感じますね。
はるちゃん
本当にいろんな仕事があるんですね。技術系のイメージが強かったんですが、新卒採用ページを見ると「事務系」「技術系」と2枠あるんですよね。事務系のお仕事でいうと、どんな部門があるんでしょうか?
おのせさん
私の担当である広報、そして総務、採算管理の会計部門、鉛筆からロケットの部品まで調達する調達部門などもありますね。
はるちゃん
小野瀬様はずっと広報部なんですか?
おのせさん
私はいろいろ転勤してまして、調達部門・予算管理部門、そして宇宙教育センターも経験してるんです。
はるちゃん
「宇宙教育センター」って初めて聞きました。どういったことをされるんですか?
おのせさん
全国の幼稚園・保育園、小・中・高校に行って、先生と一緒に授業を作っていくんですよ。いつもの授業に「宇宙」の視点が加わることで日常に気づきが生まれたり、身近な物事が宇宙へとつながっていることに気づいてもらえたら……そんな思いで取り組んでるんですよ。
おのせさん
子ども達にとって授業の幅が広がっていきますし、先生自身がまた宇宙を伝えていくことができるんですよ。
はるちゃん
面白そうですね! 生徒さん達から先生に頼んで依頼してもらうこともできるんですね。
★詳しくはこちら → http://edu.jaxa.jp/education/partnership/school/ ★
はるちゃん
小野瀬様の現在のお仕事、ここ「種子島宇宙センターでの広報」というお仕事について、やりがいや大変さなどを教えてください。
おのせさん
敷地内にある『宇宙科学技術館』の展示や企画も担当しています。企画展を考えてポスターを作ったり。皆さんが喜んで帰ってくれるのが嬉しいですね。
情報発信の面では、媒体を選び、時期をうまく見計らい、どう出せば取り上げてもらえるか、我々の活動をいろんな人に知ってもらうためにと、科学館も含め試行錯誤ですね。そういった点が「広報」という仕事のむずかしい面でもあり、またおもしろい面でもあると思っています。
情報発信の面では、媒体を選び、時期をうまく見計らい、どう出せば取り上げてもらえるか、我々の活動をいろんな人に知ってもらうためにと、科学館も含め試行錯誤ですね。そういった点が「広報」という仕事のむずかしい面でもあり、またおもしろい面でもあると思っています。
はるちゃん
宇宙科学技術館の「人工衛星の開発」コーナーでは、いろんな職種の方から、子ども達へのメッセージもありました。
はるちゃん
小野瀬様から、子どもたちへ「中学・高校時代にこういうことをやっておくといいよ」ってメッセージがあればお願いします。
おのせさん
「苦手なことは少ない方がいいよ」ってことでしょうか。私自身、数学が苦手だったんですが、今思えば「やって損はないかな・やっておけばよかったかな」って思うんですよ。「何かひとつだけ」と絞り込むよりも、スポーツでも何でも多くのことに興味を持っていろいろ打ち込んだ経験が将来、役立つと思いますね。
おのせさん
もうひとつ「やってみる・手をつけてみる・あきらめない」。ロケット打ち上げでもそう、今でもなかなかうまくいかない。でも、自分で手を動かして触れて接して、現場に出てやってみる。インターネットが発達して、知っていないのに知った気になる、やってないのにあきらめてしまうってこともあると思うのですが「百聞は一見にしかず」です。「やってみる」そういう思いを大事にしてもらえたらと思いますね。
(↑ 2018年打ち上げ予定の人工衛星)
はるちゃん
なるほど。宇宙科学技術館で見たポスター、学生さんの「宇宙生活のためのプロダクトデザイン」も印象に残っています。
はるちゃん
ジュエリーやお酒のイラストとともに「宇宙の無重力空間でお酒を飲むには」「『パーティ―会場は宇宙です』なんて時代がそう遠くない」って書かれていて。宇宙がどんどん近く感じる、今地上でやっていること何でも宇宙でもできそうだなってワクワクしました。
おのせさん
❝自分がやっていることがどこかで宇宙とつながっている❞と思えるか……宇宙に関わる仕事を目指すなら、そんな思いも大事だと思います。「どんな分野でも宇宙につながる」そう思って欲しいですね。
はるちゃん
小野瀬様、ありがとうございました! 自分が今学んでいること・得意なこと、それが宇宙でこんな風に役立つんじゃないか、そんなことを皆さんも想像してみてくださいね。
~~もっと詳しく知りたい方はこちらも~~
JAXA「仕事紹介」ページ
URL:http://stage.tksc.jaxa.jp/recruit/job/
【プロフィール】
小野瀬 正道さん(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門 鹿児島宇宙センター 管理課 広報 主任)
大東文化大学法学部政治学科卒業。就活活動中に「こういう募集もしてるんだ、事務系でも活躍してるんだ」と知り、国際調整に役立てばと志望。転勤の中、様々な部署を経験。「種子島宇宙センターなどの打ち上げ現場で働いてわかることもある。現場を知らないスタッフも多いので❝橋渡し役❞として、現場で知ったこと・経験を伝えていきたいですね」
この記事を書いた人
編集長・春瀬(編集・ライター兼キャリアカウンセラー)と、ライターさん、就労前世代のモニターバイトさんから成る編集部です。拠点は大阪市内。「こんな記事が読みたい」などリクエスト募集中!