2021.03.15 / online

子どもと社会との架け橋になる オンラインの職業体験

 

オンラインのキッズプログラミング教室『アンズテック』を運営している播磨貴文さんのインタビュー。後編では、2021年3月にプレオープンした職業体験できるオンラインスクール『ピボタウン』についてお聞きします。プログラミングを通して職業体験できるスクールはたぶん日本初。しかも「先生と生徒」ではなく「仕事仲間」として課題に取り組むというスタイルも新鮮です。「学校だけが世界のすべてじゃないってことを伝えたい」という播磨さんの想いとは?

 

株式会社あんず堂代表取締役 播磨貴文さん × ライター 西倫世さん

西ちゃん
プログラミングを使った職業体験、これを始めようと思った経緯は何ですか?

 

播磨さん
小学校でプログラミングの授業が必修化されましたよね。その背景には日本のIT人材が40万人ほど足りないと言われているからなんです。

 

西ちゃん
たしかにコロナ禍で日本はデジタル化が遅れているのを実感しましたよね。

 

播磨さん
情報技術と社会との関りを知っておいた方がいいというのも小学校でプログラミングがはじまった理由。それはいいことなのですが、一方で学校では時間が限られていますし、先生方の負担も大きい。そこをサポートしたいと思いました。

 

西ちゃん
職業体験というと『キッザニア』のイメージですが、オンラインでの職業体験ってどんなものですか?

 

播磨さん
コンピュータを使って、実際の仕事の問題点を解決していくというもの。協力企業さんにヒアリングし、実際の現場で困っていることを聞き、その解決方法を考えるんです。プログラミングだけでなく、デザインや動画の編集にも取り組みます。

 

西ちゃん
具体的には、どんな職業の体験をするんですか?

 

播磨さん
今、決まっているのは電車と病院のお仕事です。電車は車掌さんが使っている車内アナウンスをつくります。

 

西ちゃん
「次は○○駅~」という、あれですか。

 

播磨さん
そうです。昔は車掌さんが自分の声でアナウンスしていましたが、今はタブレットを使ってあらかじめ録音された音声を流しています。日本語だけでなく英語や中国語のアナウンスもありますよね。それらの仕組みをつくってみるんです。

 

西ちゃん
なるほど。病院のお仕事というのは?

 

播磨さん
質問を送るとAIが返信をくれるチャットボットってあるじゃないですか。あれを病院の受付を想定して、どんな質問がくるのか考え、その答えを返信できるシステムをつくります。

 

西ちゃん
本格的ですね。そのまま本当のビジネスになりそう。

 

播磨さん
そうなんです。職業体験では生徒を新入社員として接するんです。子ども扱いするんじゃなくて社会の一員として接することで、学校や塾とはちがう体験をしてほしい。言われたことをやるのではなく、主体的に取り組む姿勢が将来に役に立つと考えています。

 

西ちゃん
子どもを社会の一員として考える。そんな考えに至った理由はありますか?

 

播磨さん
僕は実は小学生のとき、学校が苦手でした。家にあったワープロで遊んでる時間が一番楽しかった。パソコンに触れるようになると、どんどん作れるものが増えて、視野も広がって……それが楽しかったので、同じ体験を子どもにもさせてあげたいと思ったんです。一般的に小学生が社会と関わるのは学校だけ。でも学校がすべてではなくて、それ以外でも楽しいことができる場所があるといいですよね。

 

西ちゃん
自分の居場所ができて、将来に役立つ力が育つっていいですね。

 

播磨さん
人間関係って何が正解か判断するのは難しいけど、パソコンは正しい入力をすれば正しい出力が返ってくるんです。パソコンがキライでさえなければ、こういうのがいい体験になる。

 

西ちゃん
いわゆる成功体験の蓄積ですね。

 

播磨さん
まさにそう。

 

西ちゃん
このオンライン職業体験、3月にスタートされたばかりですが、今後はどんな風に展開されていくんでしょうか?

 

播磨さん
最初は教室のなかだけになってしまうけど、作ったものを教室外の人に使ってもらえるような機会をつくっていきたいですね。

 

◆オンライン職業体験 ピボタウン 詳細・お申し込みはこちら ⇒ https://pivotown.jp/

現在、プレオープン中・7月に正式オープン

インタビュー記事前編はこちら

この記事を書いた人

西  倫世
フリーランスのライター。学生時代、アルバイト情報誌の編集部で学生スタッフとして雑誌づくりに携わり、大学卒業後は編集プロダクションに勤務。転職情報誌の編集・ライターとして経験を積み28歳で独立。現在は就職サイトにて記事を作成するほか、飲食業界誌、企業広報誌、テレビ誌などあらゆる媒体で、さまざまな職業の人物インタビューを行っている。