2019.12.20 / newseventsbook

トップクリエイターに学ぶ「いい話を上手に聞く方法」

「仕事。」 著:川村元気

(出版社:文春文庫 690円+税)

著者の川村元気さんは「君の名は。」「天気の子」の企画・プロデュースで知られる映画プロデューサーです。

そんな川村さんが自ら「世界を面白くしてきた巨匠」と断言する12人に話を聞いて「できるだけ生の状態で紹介したい」というのだから気になります。しかもその動機は「仕事。」がしたいから。そして「仕事。」がしたい人を増やしたいから。

秋元康、糸井重里、篠山紀信、谷川俊太郎、坂本龍一、宮崎駿など、12人の世代やジャンルはさまざま。人生を楽しくするための「仕事。」などできるのだろうか、そんな川村さんの疑問に答えをくれそうなメンツが揃っています。

楽しいのは「予習」と「復習」があるところ。「何が気になるのか」「どんなふうに準備し、質問し、何を感じ取っているか」。こうした一つひとつがきっと、川村さんの「今」をつくり上げているはずです。

「あの仕事のとき、実はこんなこと考えていて」なんて川村さん自身の仕事の話も出てくるし「誰かとコラボレーションをするとき、何にこだわりますか?」「仕事相手と喧嘩をしてもいいんですか?」なんていう質問からは、仕事をするうえで大切にしていること、気にしていることが伝わってきます。

12人から川村さんへの突っ込みや逆質問も多く、秋元康さんによる「川村さんの仕事分析」や沢木耕太郎さんから突き付けられる「誰かの人生をいったん引き受けたほうがいい」という提案など、スリリングなキャッチボールがいっぱいです。

気になる人から大事なヒントをもらいたいとき、どんな姿勢で何を聞いたら相手も自分もいい時間を過ごせてモチベーションが上がるのか。テーマは仕事術だけど、コミュニケーション力の磨き方も学べる本です。

この記事を書いた人

久保田 説子
公共団体、企業、大学などが発信したいことを、一緒に企画し、提案して形にしていく広報広告クリエイター。もっとも多いのは人物インタビューなどライターとしてのお仕事。大学ではコミュニケーションの授業を担当しています。 株式会社これから