課題図書④飛ぶための百歩
読書感想文コンクールに今年もチャレンジするぞというみんなへ。今年の課題図書について紹介します。
☆『飛ぶための百歩』はこんな人におススメ☆
思春期まっただ中 / 山や鳥が好き / 素直になれない / 登山が好き / チャレンジしてみたい / 海外の作品が好き
思春期まっただ中の少年・少女が成長していく、イタリアの児童文学作品です。
主人公・ルーチョは中学を卒業したばかり。何でも自分でやろうと意固地になって頑張るのですが、実は5歳の時に失明していて目が見えません。
盲目の少年は今、人が差し出してくれる手をついふりほどいてしまいます。人に頼ることがどうも苦手なのです。
かわいがってくれるおばさん・ベアと登山に出かけた時、同い年の無口な少女・キアーラと出会います。キアーラは外に出ると内気になってしまい、友達を作ることができないという悩みを抱えています。
そんな二人は、簡単にはたどり着けない岩壁を目指します。ワシの夫婦が巣を作っていて、親鳥を怒らせずにひなを観察できる場所があるのだそうです。
同じく、ひなを目指して山に登っている二人組がいました。ひなをぬすんで密売しようとする「密猟者」です。
ひながさらわれたことを知ったルーチョは、気転をきかせてひなを救います。キアーラとの出会い、ひなを救ったこと、そんな日々がきっかけになり、ルーチョは成長をとげます。素直になって新しい世界へ踏み出していくのです。
ルーチョが手の感触で砂糖の種類を区別したり、かすかな香りで2種のパニーニを区別したり。視覚以外の感覚を研ぎ澄まし、視覚以外の感覚でワクワクして暮らしている様子にもハッとさせられる物語です。
ルーチョが、「誰だって、誰かの力を借りて生きてる」と、素直に思えるようになるまでの葛藤と成長が、山を舞台にさわやかに描かれています。
◆本について 『飛ぶための百歩』 著:ジュゼッペ・フェスタ /翻訳: 杉本 あり 出版社: 偕成社 1,540円