2018.08.12 / newseventsbook

読書感想文サポート連載⑥

『わたしがいどんだ戦い1939年』キンバリー・ブルベイカー・ブラッドリー 訳:大作道子 価格:1600円(税別)

読書感想文にチャレンジする時、「早く読めそう」と、ページ数が少ない本・イラストや写真が多い本を選んでしまったりしませんか?

もし興味のないジャンルを選んでしまうと、読書タイムがとても苦痛になります。というわけで、今回の課題図書を順番に紹介します。本選びの参考にしてくださいね。

◆「わたしがいどんだ戦い1939年」はこんな本

舞台は1939年のイギリス。第二次世界大戦を背景に、主人公の少女エイダが自分を取り戻して生きていくため、戦っていく様子がとても丁寧な心理描写で描かれています。

エイダは生まれつき右足が不自由で、10歳まで母親にアパートに閉じ込められていました。母親が虐待していたのです。

けれど、戦争による学童疎開を利用して「外に出るチャンス」と歩く練習をし、弟と逃げ出していきます。

ひどい母親の存在、不自由な右足、戦争の影響などつらい現実がたくさん描かれているのですが、疎開先のスーザンはじめ、村の人達とのあたたかなふれあいも描かれています。ポニーに乗ったりと、新しいことにも次々とチャレンジしていく中、エイダの世界は広がり、自信もついてきます。「読み方を教えてくれませんか」と自分から申し出るシーンもあり、エイダの意欲的な姿勢が印象に残ります。

戦争については、現代の日本で中学校・高校に通っていると想像もつかないと思いますが、本の中では「戦争に関する政府からのお知らせ」がエイダ達のもとにも次々と送られてきます。例えば、ガスマスクを持ち歩く理由とその取り付け方、暗闇で自動車にひかれないための対策など。リアルに状況が浮かび上がり、戦争についても考えさせられます。

もしもあなたが理不尽な環境、けがや病気などで悩んでいたり、困っていたりしたら、エイダの戦いぶりから勇気がもらえるのではないかと思います。「人間ってこんなに強いんだな」「人ってあたたかいんだな」そんなことも感じられる一冊です。

『わたしがいどんだ戦い1939年』キンバリー・ブルベイカー・ブラッドリー 訳:大作道子

この記事を書いた人

あすとれ編集部
編集長・春瀬(編集・ライター兼キャリアカウンセラー)と、ライターさん、就労前世代のモニターバイトさんから成る編集部です。拠点は大阪市内。「こんな記事が読みたい」などリクエスト募集中!