2021.07.08 / newseventsbook

課題図書⑨エカシの森と子馬のポンコ

読書感想文コンクールに今年もチャレンジするぞというみんなへ。今年の課題図書について紹介します。

☆『エカシの森と子馬のポンコ』はこんな人におススメ☆

馬が好き / 北海道が好き / 森や川、自然が好き / 自由に生きてみたいと思う / アイヌ文化を知りたい / 大人になることについて考えたい

 

物語の主人公は子馬のポンコ。北海道のドサンコ馬の女の子です。

牛乳を出す牛たちが大事にされる牧場から抜け出して、森でひとりで生きています。

ここでは自由で、好きなところへ好きなように歩いていくことができます。

森には、風の声や虫たちの声、水の声があふれています。

ハルニレという長老の木・エカシやふしぎなカメムシたちからアイヌ文化やいろんなことを教えてもらい、自分の心の声を聞きながら、暮らしています。

 

けれどある日、川の水の声も、風の声もいつもと違うと感じます。毎日、自分はおとなになっていく……。エカシやカメムシたちが、ポンコに「おとなになること」を教えてくれる成長物語です。

この作品は、5・6年生向け。

もうすぐ中学生ということで、急にお姉ちゃん・お兄ちゃん扱いをされてとまどったり、「大人になるってどういうこと?」と考え始める人も多いのではないでしょうか。

風や虫、水の声に耳をすまし、ありのままに自由に生きるポンコの姿に勇気や力をもらえる作品です。

作者は北海道の農家で生まれた方で「自分の体がやりたいと思っていることがいいことなんだ」とあとがきで書いています。

学校や習い事、塾、いろんな時間の中で自由にはいかないこともあるかもしれないけれど、平均寿命=80代と考えると、学校を出てからの生活の方がうんと長いわけです。

作者は「やりたいこと、夢のかけらや夢の種」を探して、自分という土地の中に入れてほしい、と語っています。学校をはなれた後でも育っていくからと。

北海道の森を舞台に、アイヌと和人の歴史、つらい冬のことや水の力なども感じながら、ポンコのように心を自由にしてみてはいかがでしょうか。

 

◆本について 『エカシの森と子馬のポンコ』 著:加藤多一 絵:大野八生 出版社: ポプラ社 1,760円

この記事を書いた人

あすとれ編集部
編集長・春瀬(編集・ライター兼キャリアカウンセラー)と、ライターさん、就労前世代のモニターバイトさんから成る編集部です。拠点は大阪市内。「こんな記事が読みたい」などリクエスト募集中!